双子おめでとさん！☆矢 散文を

誕生の歯車

「おめでとう！」ミロが明るく俺私達に言う。
本当は嫌いだったのだ。この日は別れの日だったから。
運命の歯車が回った日　ひとつだったものがふたつに分かれた日
私俺達が生まれ落ちて、サガとカノンに別れさせられた日だったから。
「ほら、デスがさ旨い飯作って待ってる」ミロが俺私達を押しながら階段を登る

私の愛しいミロ
俺の可愛いミロ

なんでこんなに幸せなのだろう？
ああ、何もかもが思い通りにならなかった人生なのに。
神を怨み罵って、罪深き泥沼に身を沈めた俺私の人生
狂った歯車の運命に嘆きこそすれ、嬉しく思う日が来るとは思わなかった

「ハッピーバースデイ」

集まっていた身内の者達。一斉に向けられたその言葉
お互いの名前を呼ばれて私俺達は個を初めて喜んだ。
生まれて違う道を歩き出してしまった俺私達の、初めての喜び。

ああ、君にめぐり逢えた幸せに私は女神に感謝します！

ああ、お前に救われたあの奇跡を俺は女神に感謝する！


相反した心が、回帰した瞬間。