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ああ・・過ぎゆく日々の戯れ言よ・・・
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珍しく穏やかな日差し 風の良く通る店は緑に溢れ涼しかった。
アムロは最近お気に入りの鉄で出来た空の水鉢で丸くなっていて、それに微笑みつつ
アムロが冬の生まれで良かったな、などと思いながらアムロの額を愛おし気に撫でた。
シャアが昔読んだ小説に、夏に生まれた猫は皮膚が薄く寒がりで 火の消えたまだ温かい竈に入り込んでどうしても暖をとってしまう猫の話があった。
その猫はその所為で鼻や肉球が黒く汚れて、釜猫と呼ばれそれを同僚に馬鹿にされる話。
本当は官僚の閉鎖的、排他的性質を書いたものなのだが…
シャアはアムロの可愛いピンクの鼻が好きだったので、それがススで汚れてしまうのは惜しいな、と思う。まぁ、たとえ汚れても自分が毎日綺麗にするがねとも思った。

そんな下らない事を考えながら大時計の隅々を綺麗に拭って、この手の込んだ古時計の主を待ちわびる。今日午後ぐらいに取りに来ると言っていたが…
と、その時時計の鼓動がカチリと高鳴る
時計が正午を感じて動き出した。…彼らの一日に一度の逢瀬 まるで私達のようなそれ
寂しげで美しい旋律、回る世界 昼と夜が交差する不思議な空間でダンスを踊る恋人達
いつの間にかアムロが足元にちょこんと座っていて、時計を見上げていた。
抱き上げて胸に抱える。不安も切なさも溢れそうな愛しさもごちゃ混ぜに感じながら
そしてそれを出さないように、彼を安心させるようにゆっくりと撫でて。
「…大丈夫、私達もきっと許されるよ。」
にゃあん とアムロが鳴く。小さな小さなアムロ、私の愛しい恋人…永遠の、恋人。
「君は陽の光を存分に浴び、私は君と共にあの宇宙(ソラ)の星を眺めよう」
愛している そう告げた時に物音が鳴った。
入り口には時計の持ち主の女性、バックを床に落とし目を見開いて時計を見ていた。
彼らはラストダンスを終え、また別れて次の再会を待つ事に。女性は声もなく泣いていた。
シャアは女性のハンドバックを取ってあげると彼女はハンカチで涙を拭った。

「まさか…直るなんて、もう半分以上諦めていたんです。色々な所で無理って言われて…」
「そうですか。家に凝り性な者がいまして、彼が秘密を解き明かしてくれました」
女性はふらっと時計に寄ると愛おしそうに手を置いた
ゆっくりと耳を付けて時計の歯車を聞きながらそっとシャアに語る
「これ、祖父と祖母が結婚の記念に…当時持っていたお金全部はたいてスイスで作ったものなんです」
女性は写真をシャアに見せたので、シャアは抱いていたアムロにも見えるようにした
写真には優しそうな老夫婦が。セピアの四角の中で微笑んでいた
「馬鹿ですよね、全財産ですよ?二人とも親から反対されて駆け落ち同然で海外に飛び出て。で、稼いだお金全部合わせてこの時計 結婚式もあげられなかったからって祖父が愛の証だって。祖母もきっと苦しかったに違いないのに、胸を張った祖父に嬉しいって言ったって。だ、だから私…これだけはって、思ってて…」

女性は何度も頭を下げて時計と共に帰っていった。
シャアはアムロを抱き上げてそっと微笑む
「大丈夫、もうすぐ私達も彼らのようにすぐに逢えるよ」
確信は無いけれど、信じる事はとても大切だと思った。
永遠を、未来を願い 無謀な贈り物をした彼のように愛を告げよう
「愛してるよアムロ、私の永遠の恋人」
植物がざああと心地よい音を奏でて風がシャアの柔らかい髪とアムロのピンとしたヒゲを微かに揺らした。彼らは昼食をゆっくりと取って穏やかな時を過ごす。
そしてもうすぐ星の時、夜がゆっくりとやって来た。

*****************
ちょっと遅くなりましたが永遠の恋人話。拍手、ありがとございました!
最初は下らない馬鹿話考えてたんですが、こういう方がお好きかな~と考え直して。
ご感想ありがとです!こんなんでよろしければお納め下さいませ~
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自己紹介:
雄と言えなくもないメス科。
なんかそのへんふらふらしてたらあっというまに年をとってた、熟れすぎの果実。(果実は言い過ぎだろーが!!)
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